塚本司郎 白磁 耳付 香炉 美濃焼 未使用 三足 蕪型 貫入 唐草 透し蓋 美品 共箱 黄布 四方棧 塚本快示 快山窯 司郎

塚本司郎作の白磁耳付香炉です。塚本快示さん同様 白磁 青磁のスペシャリストとして有名な方です。端麗で精緻な作柄と言い あでやかな味わいと言い、“快山窯”とは少し方向性の異なるご自身の芸術を確立された作家さんだと感じます。
資料によりますと 快示さんとは従兄弟関係で 昭和20年に快山窯に入所 昭和58年に独立 平成24年没との事で、快山窯での活動と独立後の活動は ほぼ同じくらいの長さだった事が分かります。
幸いな事に 同氏の作品は “土岐市美濃陶磁歴史館”に大量の所蔵があり 立派な図録も出版されています。没後に遺族から市に寄贈された品々で、作家の手元に残された300点余りの品々の中から180点程を選択して受け入れたのだそうです。“諸事情” があって 致し方なかったのだと考えますが、もし全点一括で残されていたら 資料的価値は数倍上がっていたに違いない…と 少し残念に思われます。
白磁の耳付きの香炉です。形としては 三足の蕪型の丸香炉で、陶磁器 金属製を問わず 古典的な形だと言えましょう。上記の図録に掲載はありませんが、作家の手元に残されなかったのか 受け入れの選択から漏れたのか…そこの詳細は分かりません。収蔵作品は 色彩の鮮やかな物 青磁白磁でも形の変化に富む物など 特色の際立った作品が多く、仮に選択から漏れたのだとしても 何となく理由が納得されます。
置かれる場所 据えらる空間の性格上、“香炉” には特段の “格” が要求されます。ここらは 変幻自在な茶道具とも 自由な食器類とも異なる 香炉ならではの特質で、特有の難しさだと考えられます。余りに鮮やかだったり 変化に富んだ形状だと “場”を乱す可能性も考えられ、この品の安寧さ 平穏さは 香炉の一徳を示すものだとも感じられます。図録に掲載されていないのは、作品としては 或いは“本望”なのかもしれないとも思い至りました。
白磁ですが、乳白色と言えそうな色合いで、更に 若干の陰影も感じられ “香炉” として 頃合だと感じます。表面には 極薄く “貫入” が見られ、陰影感の要因が理解されます。
厚手でポッタリとした出来上がりですが、それが鈍さや緩さに繋がっていないのが見事だと思います。透しの穴に 刃物アトがありありと残るのも ゆかしさを増します。造形は あくまでも鋭くシャープでいながら 印象は丸く穏やかで…芸境の深さが伝わります。

極美品です。状態から見ても未使用だと考えます。共箱 四方棧で豪華 大変に綺麗です。表面には まだ“砥粉”感が漂い 流転の少なさを物語ります。本体 共箱 黄布 と揃った とても条件の良いセットだと思います。

概寸 口径 5.5cm×胴径 11.4cm×h 9.8cm（蓋共）
φ 5.9cm×h 2.6cm（蓋）

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