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1371
発行年月:1991年06月
ISBNコード:4-07-935044-9
287ページ
販売価格: 88,000円
明治三十四年(1901)、神戸の料理屋「中現長」の長男に生まれ、十五歳から料理修行を始める。二十四歳のとき、松平不味の「茶会記」で、懐石に出会い、感動を受けて、料理を一生の仕事と定めた。
昭和五年(1930)に大阪で「御鯛茶処 吉兆」を開店。現在の「吉兆」グループの創業である。茶の湯の真情に根ざした料理は、季節を味わい、しつらえの演出が工夫され、「日本料理界は吉兆という風が吹いている」ともいわれた。その味と趣向を極め、気品のある日本料理は世界に誇るものとして、湯木は「世界の名物 日本料理」を標榜していた。
戦後間もなく、すでにベーコンや牛肉、アスパラガスなどの新しい素材を取り入れ、松花堂弁当を考案するなど、つねに創造をつづけた。その一方で、「食の基本と最高の料理は家庭にある」とし、『暮らしの手帳』誌上の約二十年にわたる連載で「吉兆の手のうちも、洗いざらい」披露して、日本料理をまもり育てようと努めた。湯木の美意識の発露である美術品収集も有名で、茶の湯の道具を中心とした作品は「湯木美術館」に所蔵、公開されている。
昭和六十三年(1988)、料理界では初めての文化功労者の顕彰を受けた。
平成九年(1997)、逝去。享年九十五歳。