※イタリアンコメディ(=コンメディア・デッラルテ、Commedia dell’arte)は16世紀中頃にイタリア北部にはじまり、当時のヨーロッパにおいて流行した即興喜劇です。ご存知の様にロココ時代から現代に至るまで、マイセンにおいて数多くの作品デザインのモチーフとして取り扱われています。当時のアウグスト強王時代の宮廷の記録によれば、コンメディア・デッラルテがドレスデンで初演を繰り広げたのが1709年頃、1730年代には劇団の常設によって日常的に観劇されるようになっていた様です。マイセン窯の初期にはすでに炻器によるイタリアンコメディ人形が数人のドレスデン宮廷芸術家などによって作られたとされていますが、なんといっても後世に名声を博する一連のイタリアンコメディ人形を創造したのはやはり天才ケンドラー(Johann Joachim Kaendler 1706-1775)とその弟子たちでした。Jacques Callot(1592-1635)、Louis Riccoboni(1676-1753)、Johann Jacob Wolrab(1675-1746)などによる版画の挿絵などの出版印刷物を参考にケンドラーたちは磁器人形を制作し、造型物の持つ平面ではない3Dという特性を生かしてよりダイナミックに生き々としたストック・キャラクターの人形たちを生み出しました。